料理酒とみりんの違いは? 清酒の香味とみりんの甘味について

料理酒とみりんの違いは?

料理酒とみりんの違いを紹介します。

料理酒(日本酒)とみりんは、似て非なる調味料です。日本酒が「麹菌の生成する酵素による澱粉の糖化」と「酵母によるアルコール発酵」による平行複発酵であるのに対し、みりんはもち米と米麹を醸造アルコールの中で熟成させたものです。

これにより、日本酒は豊かな香味を有し、みりんは複雑な甘味を有することになります。

料理酒(清酒)の特徴は?

料理酒(清酒)の特徴は?

清酒は、風味が豊かです。

清酒は、麹菌の酵素による澱粉の糖化と酵母菌によるアルコール発酵という平行複発酵により作られます。平行複発酵の過程においては数多くの微生物が関与しており、それによって複雑な香味が生み出されます。

そのため、加塩料理酒ではなく日本酒(清酒)をおすすめしています。

分類種類
酒類(嗜好品)無加塩料理酒(清酒)
食品(調味料)加塩料理酒

日本酒は酒類であり、加塩料理酒は食品です。

料理酒には日本酒(清酒)を選ぶべきであるのは、料理酒のメリットがアルコールと豊かな香味であるためです。安価に販売されている料理酒(加塩料理酒)の多くは発酵を伴わない合成酒であるために香味の点で劣ることになります。

少し割高にはなりますが、その価値は十分にあります。

みりん(本みりん)の特徴は?

みりん(本みりん)の特徴は?

みりんには、甘味があります。

みりん(本みりん)は、もち米と米麹を醸造アルコールの中で熟成させることにより作られます。もち米の澱粉は高濃度のアルコール存在下では老化(β化)しませんので、米麹の糖化酵素群がスムーズに作用できるために甘くなります。

しかし、みりんには種類があります。

種類原料
本みりん米麹、もち米、焼酎
本なおし本みりんと同じ
発酵調味料食塩、米麹、調味料など
みりん風調味料各種糖質、酸味料、香料、甘酒など

基本的には、本みりんをおすすめします。

本なおし(アルコール度数の高いみりん)や発酵調味料も悪くはありませんが、本なおしは流通量が少なく一般的ではありませんし、発酵調味料には不可飲処置としての塩分が含まれていますので調味が難しくなります。

みりん風調味料に関しては、おすすめしません。

料理酒とみりんの使い分けは?

料理酒とみりんの使い分けは?

清酒とみりんは目的が異なります。

どちらにも13~14%ほどのアルコールを含んでいますが、清酒は芳醇な香りとうま味を有しており、本みりんは複雑な甘みとうま味を有しています。このことからも、みりんは甘味料として使われることもあります。

甘味が不要であれば清酒、甘味が必要であれば本みりんです。

種類特徴
料理酒(清酒)アルコール、香味、うま味
みりん(本みりん)アルコール、甘味、うま味

アルコール濃度は同程度です。

どちらにも「食材に味がしみ込みやすくなる」「食材固有の不快なにおいを和らげる」「保存性が高くなる」などの効果が望めます。このことからも、おひたしなどに使用する際には煮切り酒や煮切りみりんにしてから使うことになります。

また、みりんは軽く焦がして香りを高めることもあります。

料理酒は肉を柔らかくするがみりんは硬くする?

料理酒は肉を柔らかくするがみりんは硬くする?

料理酒は、肉を柔らかくします。

これには2点の理由があります。それが、「①保水性の向上」と「②タンパク質の可溶化」です。料理酒(日本酒)は水素イオン指数の低い食材(pH4.0~4.5)ですので、筋原線維タンパク質を緩めることと分解ことにより肉が柔らかくなります。

以下は、主な仕組みです。

効果仕組み
保水性の向上酸性pHにより筋原線維タンパク質が緩む
タンパク質の分解酸性プロテアーゼの活性化

しかし、みりんは肉を柔らかくしません。

料理酒(日本酒)とみりんは共通点の多い調味料です。しかし、日本酒が平行複発酵で作られるのに対してみりんは醸造アルコールにもち米と米麹を加えて作られますので、水素イオン指数(pH)には大きな違いが生じます。

調味料水素イオン指数(pH)
日本酒4.0~4.5
みりん5.0~6.0

この違いが、「料理酒は肉を柔らかくしてみりんは硬くする」と言われる所以です。

ちなみに、みりんが肉を硬く(硬化)させているわけではありません。もちろん、浸透圧による多少の脱水効果はあるかと思いますが、あくまでも“日本酒と比べると柔らかくはならない“くらいに考えてもらえればよいかと思います。

料理酒が肉を柔らかくするのは、酸性pHであるためです。

【まとめ】料理酒とみりんの違いは?

料理酒(清酒)とみりんは異なる調味料です。清酒はアルコールのほかに“香味”を有する調味料ですし、みりんはアルコールのほかに“甘味”を有する調味料です。どちらも同程度のアルコール分を含みますが、製造工程の違いにより大きく異なる特徴を有しています。いずれにても、料理酒には“清酒”、みりんには“本みりん”を選ぶことをお勧めします。

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