米粒が割れるとご飯はべちゃべちゃになります。
精白米の約77%は炭水化物でそのほとんどが糖質のでんぷんです。でんぷんは糊化することにより粘りを持ちますので、糊化でんぷんが米粒内に保持されていればもちもちしたご飯となり、米粒外へ流れてしまえば糊状のご飯になります。
美味しいご飯とは、でんぷんが良く糊化していて組織は適度に水和して弾力性を保ちつつも柔らかくなっている状態です。
真冬でも冷水で洗米すること
洗米は冷水で行います。
米の浸水時間と吸水量は水温に影響を受けます。特に浸水初期において吸水量の違いは大きなものとなり、水温5℃と30℃を比較すると「10分後では3倍以上」「30分後では約2倍」もの違いとなることが確認されています。
水温が高いほどに急激に吸水するということです。
急激な吸水は米粒が割れる原因になります。米粒(でんぷん貯蔵細胞)はでんぷんが複数個詰まったアミノプラストと呼ばれる袋状の組織の集まりですので、急激な吸水により割れてしまえばでんぷんが流出してしまうことになります。
米粒が割れるとご飯がべちゃべちゃになるのは流出したでんぷんが糊化(α化)するためです。
洗米は研がずに洗うこと
米粒は優しく洗います。
昔は掌(親指の付け根の厚みのある部分)を使って米を研ぐことが推奨されていましたが、現在の精白米は研がずに優しく洗うことが推奨されています。これは精米技術が向上したことに加えて火力乾燥が多くなってきたためです。
米は収穫後に水分量15%ほどまで乾燥させます。
昔は時間をかけて自然乾燥されていましたが現在は火力乾燥が主流です。火力乾燥された米粒は胚乳部がもろくなるためにやさしく洗わなければ簡単に砕けてしまいます。
また、計量時などにも衝撃を与えないように扱う必要があります。
ざる上げ吸水は避けること
米の吸水には浸漬吸水がおすすめです。
米を水に浸けると最初の15~30分の間に急激に吸水が進み、その後はやや緩やかになりながらも2時間ほどかけて飽和吸水量(20~25%ほど)まで吸水が進みます。そのため冷蔵庫で2時間ほど吸水させるのが理想的だと考えられています。
その他の吸水方法には“ざる上げ吸水”もあります。
ざる上げ吸水とは読んで字のごとくザルにあげて吸水させる方法です。洗米後の米を15~30分ほどざるに上げて吸水させます。古い料理本では推奨されていることもありますが火力乾燥されている現在の米にはおすすめできません。
基本的には水に浸けて吸水させることをおすすめします。
保管時に乾燥させすぎないこと
米の水分量は15%前後に管理されています。
水分量が高すぎれば保存性が落ちますし、低すぎれば米粒が割れやすくなります。これは乾燥が進むほどに硬くなり衝撃に弱くなるためであり、極端に乾燥の進んだ米粒は水に浸しただけでも割れてしまいます。
米粒の割れたご飯は「花咲き米(はなさきごめ)」と呼ばれます。
言葉の聞こえは良いのですが、米粒が割れているとべちゃべちゃと食感の良くないご飯に炊きあがります。
【まとめ】ご飯がべちゃべちゃになる理由は?
ご飯がべちゃべちゃになるのは米粒が割れてでんぷんの流出が起こってしまったためです。このようなご飯を「花咲き米(はなさきごめ)」と呼びます。主な原因としては「お湯で洗米する」「衝撃を与えるように強く研ぐ」「ザルに上げて吸水させる」「保管時に乾燥させすぎる」などが考えられます。花咲き米はお世辞にも美味しいものではありませんので注意が必要です。