貝類の砂抜き方法を紹介します。
貝類は砂抜き(砂吐かせや泥吐かせ)をしてから調理します。基本的には生息域と同等の塩分濃度の水に2~時間ほど浸しておくことがポイントであり、アサリやハマグリは3%前後、シジミは0~1%ほどの食塩水を用います。
また、暗くしておくとスムーズに砂を吐きます。
具体的な砂抜き方法は?
具体的な砂抜き方法の説明です。
貝類の砂抜きは「①塩分濃度」「②砂を再度吸い込まないように網を敷く」「③水(食塩水)は貝に対してひたひたになるようにする」「④室温が高い場合には冷蔵庫に入れておく」などがポイントになります。
これらの条件により砂を吐きだす量が変わります。
貝類が重ならずに広げられる大きさのボウルと網を用意します。貝類が重ならずに広げられれば問題ありませんので、ボウルとザルや揚げ物用のバットなどを使ってもOKです。
アサリやハマグリであれば3%(水1Lに対して粗塩大さじ2の食塩水)、シジミであれば0~1%(真水もしくは水1Lに対して粗塩小さじ2の食塩水)の水をひたひたになるまで注ぎます。
冷暗所に2~3時間ほどおいて砂を吐かせます。アサリの旬は3~4月であるため室温でOKですが、シジミは7~8月が旬であるために温度が高すぎる場合には冷蔵庫で砂を吐かせることもあります。※時間が長すぎると腐ることもありますので注意が必要です。
砂を吐かせ終わりましたら、水を捨ててから分量外の塩をかけてこすり洗いします。アサリはゴリゴリ洗っても大丈夫ですが、シジミは殻が欠けないようにやさしく洗うことがポイントになります。
以上が貝類の基本的な砂抜き方法です。
特別な道具は必要ありません。今回はボウルに裏ごし用の網を組み合わせていますが、ボウルとザルを組み合わせたり、揚げ物用のバットなどを使ってもOKです。蓋は暗くすることが目的ですので新聞紙やアルミホイルなどでも代用できます。
砂を吐きだしやすい条件を整えることがポイントになります。
水質や包丁の有無について
貝類の砂抜きには水道水を使えます。
浄水器を通したりミネラルウォーターを使わなくても貝類が弱ることはありませんので、水道水に粗塩を溶かして食塩水にすればOKです。(※水道水と井戸水での比較実験では砂の吐出し量に差異がないことが確認されています)
また、「包丁を入れておくと砂を吐きやすくなる」というのは迷信です。
昔ながらの生活の知恵として「包丁を入れておくと鉄分により砂を吐きやすくなる」と言われることもありますが、包丁や鉄くぎなどを用いた実験では効果はないことが実証されています。むしろ、錆により吐出し量が減少することすらあります。
これらのことからも、包丁を入れておくというのは「子供を遠ざけて静かな環境で砂を吐かせる」ことが真の目的であったようです。
温度差や明暗差について
砂抜きには、常温の暗く静かな場所が最適です。
これは、常温(25℃前後)や暗所というのが貝類にとっての好ましい環境であるためです。砂を吐かせるためには貝類を活動的にさせる必要がありますので、暗くして静かな場所に置いておくことがポイントになります。
温度や明暗差には大きな影響力があります。
たとえば、室温(25℃前後)と冷蔵庫(10℃以下)での砂の吐出し量には2倍ほどの差が生じますし、明るい場所と暗い場所とでの砂の吐出し量にも2倍ほどの差が生じることが確認されています。
これらのことからも、砂抜きは常温の静かな場所で行われます。
【まとめ】貝類の砂抜き方法は?
貝類は砂(または泥)を吐かせてから調理されます。そのため、アサリやハマグリなどは3%前後の食塩水、シジミなどは0~1%ほどの水(真水もしくは食塩水)で砂抜き(泥抜き)します。スムーズな砂抜きには「温度:常温(25℃前後)」「光:暗くする」「音:静かな場所」などがポイントになり、条件を満たせていないと砂や泥が残ってしまうこともあります。