雪平鍋を使った炊飯方法を紹介します。
雪平鍋でご飯を炊くと、粘りの少ないさっぱりとしたご飯になります。一般的な雪平鍋の素材であるアルミニウムには“熱伝導率が高い“という特徴があるためであり、土鍋と比べると粘りや甘味の少ないさっぱりとしたご飯に炊き上がる傾向があります。
土鍋はご飯を味わう炊き方、雪平鍋はおかずを味わう炊き方です。
雪平鍋でご飯を炊くには?
雪平鍋の炊き方です。
雪平鍋を使ったご飯の炊き方は、特別なものではありません。雪平鍋炊飯のポイントは「アルミホイルでふたをする」「アルミホイルが浮かないように重しをする」「加熱時間を少し長めにする」ことの3点です。
雪平鍋は“蓋のない片手鍋”ですので、アルミホイルをふた代わりにします。
米粒にひびが入らないようにやさしく洗米します。一度目の水は素早く捨てることがポイントであり、3~5回ほど水を変えながら洗米します。洗米の程度は精米からの経過時間により変化しますので、2週間以内であれば軽くすすぐ程度でOKですし、2週間以上経過しているのであれば丁寧に洗米していきます。
キッチンスケールに雪平鍋を置き、洗米した米と水の重量が「米+水=米の重さの2.5倍(2.4~2.6倍ほど)」になるように加減します。たとえば、米150g(約1合)であれば「150×2.5=375g」となります。そのまま米粒全体が白く濁るまで30分ほど吸水させます。
吸水させた米に少量のにがり(もしくは粗塩)と油を加え、アルミホイルでふたをします。そのままではアルミホイルが浮いてしまいますので、大きめの蓋やお皿などを乗せてから火にかけます。強火で沸騰させたら“とろ火”に落として10~15分間加熱します。理想は15分ですがパチパチとした音や香ばしい香りが漂っている場合には10分で火を止めてもOKです。
そのまま10分ほど蒸らしてからふたを開け、しゃもじで天地返しをして余分な水分を飛ばします。おひつがある場合にはおひつに移して完成です。
雪平鍋炊飯には、15分ほどの加熱時間が必要です。
これは雪平鍋が冷めやすい(熱伝導率の良い)鍋であるためであり、土鍋と同じ加熱時間にしてしまうと(温度の低下により)澱粉の糊化が不十分になってしまうことがあるためです。特に、室温の低い季節には注意が必要です。
しかし、加熱時間は水加減と火加減に左右されることになりますので、初めは水加減2.5倍加熱時間10分で様子を見てみることをお勧めします。
吸水させてからにがりを加える理由は?
米は、十分に吸水させることで澱粉が糊化しやすくなります。
米の吸水率は20~30%であり、粘りの強い品種であるほどに大きくなる傾向があります。しかし、米の吸水率には“ミネラルにより制限される”という性質がありますので、吸水前ににがり(もしくは粗塩)を加えるのはよくありません。
ちなみに、にがりや粗塩には米の粒感を強くする働きがあります。
これはにがりや粗塩に含まれているマグネシウムが米の細胞壁(ペクチン)を強固にするためであり、マグネシウムが加えられることにより粒がしっかりしつつも内部はふっくらとした炊き上がりになります。
にがりが理想ではありますが、なければ粗塩でも代用できます。
炊飯に適した雪平鍋の大きさは?
炊飯は、鍋容量の7割くらいで炊くのが理想的です。
これを一般的な雪平鍋に当てはめていくと、16cmであれば1~1.5合(150~225g)ほど、18cmであれば2~2.5合(300~375g)ほどになります。このバランスにより水分が激しく対流してムラなく炊きあがることになります。
おいしいご飯のポイントともいわれることのある“かに穴”や“米が立つ”というのは、加熱時の対流によりもたらされているものです。
このことからも、鍋の大きさと炊飯量には注意を払う必要があります。
【まとめ】雪平鍋の炊飯方法は?
雪平鍋炊飯のポイントには、「アルミホイルでふたをする」「土鍋炊飯よりも加熱時間を長めにする」「雪平鍋のサイズと炊飯量を合わせる」などがあります。特に難しいことではありませんので、粘りや甘味の少ないさっぱりしたご飯を食べたい時などにはおすすめできる炊飯方法であるといえます。