おひつの使い方を紹介します。
おひつの使い方は難しくありません。しかし、間違った使い方をしてしまうと「反りや割れ」「におい残り」「黒ずみ」などの原因になります。難しいことではありませんが、ポイントは押さえておく必要があります。
正しく使えば、30~40年ほどは使い続けることのできる道具です。
おひつの使い始め(あく抜き方法)は?
おひつは、あく抜きをしてから使い始めます。
木材には“あく”が含まれています。この場合のあくとは、木材に元々含まれている水溶性成分の総称表現です。人体への悪影響はありませんが、風味が損なわれますしシミの原因になることもあります。
また、粘着性がありますので木肌をベタベタにします。
おひついっぱいまで米のとぎ汁(もしくは米ぬかを溶かした水)を入れます。
米のとぎ汁を入れた状態で3時間ほど置いておきます。水漏れする可能性がありますので、シンクなどに置いておくことをおすすめします。
ていねいに水洗いしてから水けを拭き取り、陰干しして乾燥させます。直射日光に当てると「変形、変色、タガ外れ」などの原因になりますので注意してください。
米のとぎ汁であることには理由があります。
おひつは、米のとぎ汁を入れることにより「あくが抜けやすくなる」「表面が酸化しにくくなる」などのメリットが得られます。これは、米ぬかに含まれている“酵素”と“澱粉粒子”の存在によるものだと考えられています。
当然、非加熱の米ぬかでも同様の効果が得られます。
日常的なおひつの使い方は?
日常的なおひつの使い方です。
木の道具には気を使います。たとえば、湿らしてから使い始めなければ臭い残りや油分によるシミができやすくなりますし、直射日光などにあてて乾燥させ過ぎてしまうと反りや割れの原因になることもあります。
しかしおひつの場合は、お弁当箱などと比べると難しくはありません。
おひつの内側を、固く絞った布巾で拭き上げます。軽く湿らせておくことによって米粒がくっつきにくくなります。
中央に盛るようにご飯を入れます。ご飯はふんわりと入れ替えることがポイントであり、詰めすぎてしまうとおひつのメリットである水分調整がスムーズに行われない可能性があります。
使用後は合成洗剤を使わずに水洗いします。合成洗剤を使ってしまうと“洗剤臭さ”が残りますので、汚れが気になる場合には塩や粉状クレンザーなどを使って磨き洗いをします。
洗浄後は、風通しの良い場所で陰干しします。直射日光に当ててしまうと急激な乾燥により「タガ外れ、割れ、反り」などの原因になってしまいますので注意してください。
洗い方と乾燥方法には注意してください。
洗い残しがあると、ご飯に含まれていた鉄分と木材に含まれるあく(タンニンなど)が反応して黒く変色してしまいます。また、洗い残しと湿度は微生物の繁殖にとっても好都合となりますので、カビの原因にもなります。
これらのことからも、ご飯粒をきれいに洗い流すことと、洗浄後は水分をきれいに拭き取ってから陰干ししておくことがポイントになります。
おひつが黒ずむ原因と対処方法は?
おひつは黒ずむことがあります。
黒ずみの原因には、いくつかの仕組みがあります。もっとも多いのが「タンニン鉄による黒色化」であり、木材に含まれているタンニンとご飯や水に含まれる鉄分(鉄イオン)が結合することにより黒色のタンニン鉄が生成されます。
基本的に、この反応を完全に防ぐことはできません。
次に考えられるのが、微生物(カビ)です。微生物は栄養と水分のある場所を好みますので、洗い残しや拭き残しがあるとカビてしまうことがあります。特に、室温が高くなる季節には注意が必要です。
カビの原因は洗い残しや拭き残しですので、正しく手入れをしていれば防ぐことができます。
【まとめ】おひつの使い方は?
新しいおひつは、あく抜きをしてから使い始めます。あく抜きをしておくことにより「強い木材の臭いが和らぐ」「変色しにくくなる」などのメリットが得られます。日常的な使い方のポイントとしては、「合成洗剤を使わずに丁寧に洗う」ことと「洗浄後は水けを拭き取って陰干ししておく」ことが重要です。これらの点さえ守られていれば、長きにわたって使い続けることができます。