片栗粉と小麦粉は似て非なる材料です。
片栗粉は植物中のでんぷんだけを単離した材料であり、小麦粉はでんぷんが主成分でありながらもたんぱく質なども含まれている材料です。そのため、小麦粉は水を加えてこねることにより粘りが生じる独特な特性を持っています。
また、でんぷんの性質が異なるために粘度や透明度などにも違いが生じます。
基本的な成分の違いは?
片栗粉と小麦粉は大きく異なる材料です。
どちらもでんぷんを主成分とする材料ではありますが、片栗粉は(主にじゃがいもでんぷんを)単離した材料であり、小麦粉はでんぷんの他にたんぱく質(グリアジンやグルテニンなど)を含む材料となります。
この違いにより、小麦粉は水を加えてこねることで粘弾性が生じるようになります。
材料 | たんぱく質含有量 |
---|---|
片栗粉(じゃがいもでんぷん) | 0.1% |
強力粉 | 11.5~15.0% |
中力粉 | 7.5~10.5% |
薄力粉 | 6.5~9.5% |
基本的にドウには強力粉、バッターには薄力粉を使います。
これは小麦粉に含まれているたんぱく質にはグリアジン(gliadin)とグルテニン(glutenin)が含まれているためです。これらのたんぱく質は約2倍量の水を吸って網状構造の粘質物を形成するという性質を有します。
この粘質物こそがグルテン(gluten)です。
でんぷんによるとろみの違いは?
片栗粉と小麦粉のでんぷんは異なる性質を持ちます。
どちらをつかっても、料理にとろみをつけることができます。たとえば、日本料理や中華料理の“あん”には片栗粉が用いられますし、西洋料理のシチューやクリームなどには小麦粉が用いられます。
しかし、片栗粉と小麦粉の“とろみ“には大きな違いがあります。
でんぷんの種類 | 糊化温度(℃) | 最高粘度(BU) |
---|---|---|
じゃがいもでんぷん | 64.5 | 1028 |
小麦でんぷん | 87.3 | 104 |
このため、あんかけのあんには片栗粉が用いられますし、日本風のカレーには小麦粉が用いられます。もちろん中華風のカレーなどには片栗粉を用いることもありますが、とろみの性質が異なるために全く同じ料理にはなりません。
また、透明度にも違いがあります。
片栗粉(じゃがいもでんぷん)は糊化することにより透明度が高くなりますが、小麦粉は糊化をしても白く濁った状態を保ちます。これは、小麦でんぷんには完全に糊化した状態であっても透明度40前後で頭打ちになるという特徴があるためです。
これらのことからも、片栗粉と小麦粉は使い分けられます。
【まとめ】片栗粉と小麦粉の違いは?
片栗粉と小麦粉は異なる材料です。片栗粉はでんぷんだけを単離した材料であり、小麦粉はでんぷんが主成分でありながらもたんぱく質なども含まれている材料です。そのため、小麦粉は水を加えてこねることにより(グルテンが形成されるために)粘弾性が生じるようになります。また、じゃがいもでんぷんは糊化することにより強い粘度と透明度が生じますが、小麦でんぷんには片栗粉ほどの粘度や透明度が生じることはありません。