卵焼きが黒くなる? くすんだ色(緑黒色化)の理由について

卵焼きが黒くなる?

卵焼きは、くすんだ黒色になることがあります。

原因は、卵白(シスチンやメチオニン)より発生した硫化水素(H2S)が卵黄に含まれている鉄(Fe)と結合して硫化第一鉄(FeS)となるためです。黒くなるのを防ぐためには、「鮮度の良い卵を使うこと」と「加熱しすぎないこと」がポイントになります。

緑黒色化に害はありませんが、見た目はよくありません。

鮮度が落ちると黒くなる理由は?

鮮度が落ちると黒くなる理由は?

鮮度の落ちた卵は、卵焼きを黒くします。

卵は、鮮度が落ちるほどに(二酸化炭素が抜けるために)水素イオン指数pHが高くなります。卵の化学的変化は産卵直後から始まり、産卵時7.5付近であった卵白のpHは10日ほどで9を超え、最終的には9.5程度で落ち着くことが確認されています。

pHが高くなると、硫化水素の発生量が増えます。

これは、硫化水素が卵白に含まれているタンパク質中のジスルフィド結合(S-S結合)が還元されて発生しているためであり、ジスルフィド結合には“弱アルカリ性において加熱されることでほどけやすくなる”という特徴があるために硫化水素の発生量が増えます。

そのため、「硫化水素(H2S)+鉄(Fe)=硫化第一鉄(FeS)」という緑黒色化がスムーズに進んでしまうことになります。

参考 SHとSSの生化学J-STAGE
MEMO
卵焼きやゆで卵を作る卵の鮮度には、産卵から10日ほど経過したものが好まれます。これは、鮮度が高いほどに変色しにくくはなるものの、鮮度が高すぎるがゆえに二酸化炭素(CO2)の含有量が多すぎることから「ボソボソとした食感になる」「ゆで卵の殻が剝きにくくなる」などのデメリットが生じやすくなるためです。

加熱しすぎると黒くなる理由は?

加熱しすぎると黒くなる理由は?

加熱時間により変色することもあります。

本来、卵焼きは強火で手早く作ることにより鮮やかな色とふっくらした食感が得られます。しかし、加熱時間が長引いてしまうと硫化水素の発生量が増えてしまうためにくすんだ色(緑黒色)に変色してしまうことがあります。

卵焼きの変色は、「温度×時間」に左右されるということです。

このことからも、卵焼きの色は“手際の良さ”に影響される問題であるといえます。卵焼き器の扱いに慣れるまではある程度の変色は仕方ありませんので、徐々に手際よく作れるように練習を重ねていくことがポイントになります。

卵料理の味はタンパク質の熱変性温度に大きく影響されますので、「手際が良くなる=卵焼きがおいしくなる」といっても過言ではありません。

【まとめ】卵焼きが黒くなる?

卵焼きが黒くなる(緑黒色化する)のは、卵白より発生した硫化水素(H2S)が卵黄の鉄(Fe)と結合することにより黒緑色をした硫化第一鉄(FeS)となるためです。硫化水素には「pHが高くなると発生しやすくなる」「加熱時間により発生量が増える」という特徴がありますので、新鮮な卵を使うことと手際よく作業することで変色を防げることになります。しかし、卵焼きの味だけを考えるのであれば新鮮すぎる卵は食感を悪くします(ボソボソとした食感になります)ので、過度に卵の鮮度にこだわる必要はありません。

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