揚げ物油は、複数回使えます。
何回使えるのかについては油の使用量や温度、揚げ物の食材などにより変化しますが、常識的な範疇であれば3~4回ほどは問題なく使えます。また、油の継ぎ足し(さし油)をすることにより油の劣化を遅らせることができます。
油の劣化具合は、粘度(泡立ちや吸油率など)により判断できます。
揚げ物油を複数回使うには?
揚げ物油は、複数回使うことができます。
しかし、複数回使うためには“油を劣化させない”ことがポイントになります。油は、空気に触れる・高温になる・水分やタンパク質などと混ざることにより劣化しやすくなり、劣化が進むことで臭いが生じたり粘度が高くなったりします。
油を劣化させないためには、いくつかのポイントがあります。
ポイント | 理由 |
---|---|
高温にしない | 酸化を遅らせる |
不純物をすくう | 酸化を遅らせる |
下処理をする | 不純物を増やさない |
油は、酸化により劣化します。
油の劣化は、油脂分子の中の2重結合の部分に酸素が結びつくことで始まります。油の酸化がはじまると“分解”と“重合”が起こることにより「色や味が悪くなる」「吸油率が高くなる」などの問題が生じ始めます。
油を複数回使うためには、油を熱しすぎないことと汚さないことがポイントになります。
油臭さと泡立ちの原因は?
油は、劣化により臭いや泡立ちが生じやすくなります。
繰り返しになりますが、油の劣化は酸化により始まります。油は、酸化することにより“分解”と“重合”という2つの道をたどることになります。分解すると酸が生成され、重合すると重合物が生成されます。
以下は、分解と重合による問題です。
劣化 | 変化 |
---|---|
分解 | 油の色が濃くなる 嫌な臭いを発する |
重合 | 油切れが悪くなる 泡立つようになる |
油の劣化具合は、臭い・色・粘度で判断できるということです。
たとえば、油臭さや油の色が濃くなってきたと感じられれば油の中に酸が増えてきた証拠となりますし、油切れが悪くなり泡立ちが消えにくいと感じられれば油の中に重合物が増えてきた証拠であることになります。
消えにくい泡立ち(持続性の泡立ち)は、油を交換する目安になります。
油の継ぎ足し(さし油)のメリットは?
揚げ油は、継ぎ足しにより劣化しにくくなります。
油は、劣化により酸度が低下します。これは分解により油の中に遊離脂肪酸という酸性の物質が増えるためであり、油はある程度の酸度(酸度0.7~0.8%)を超えると加速度的に劣化が進んでいくという特徴を有します。
そこで、油を継ぎ足す(さし油をする)ことで酸度を薄めます。
油の酸度は“臭い”と“色”に直結していますので、臭いや色が気にならないレベルの段階で油を継ぎ足すことがポイントになります。多量のさし油が必要となる場合には、さし油をするよりも揚げ油を入れかえた方が効率的です。
さし油は、油を”なおす”のではなく”劣化させにくくする”ためのテクニックです。
揚げ物油を使いまわせる理由は?
揚げ油は、使いまわすことができます。
意外かもしれませんが、揚げ物は(比較的)油を劣化させにくい調理方法です。もちろん、加熱をしない調理方法と比べれば大きく劣化していることにはなるのですが、炒め物などと比べると油を劣化させにくい調理方法であるとえます。
このことからも、「揚げ物→炒め物など」という使い回しが可能となります。
たとえば、揚げ物の頻度の低い家庭であれば1度揚げ物に使った油をオイルポットなどで保管しておくことにより炒め物油として使いまわせます。フィルター付きのオイルポットなどを使えば、より安全に再利用できます。
もちろん、最終的には「臭い・色・粘度など」からの自己判断となります。
【まとめ】揚げ物油は何回使える?
揚げ物油は、複数回使いまわすことができます。油の劣化は酸化に起因するものですので、複数回使うためには「温度を上げすぎない」「不純物はこまめにすくい取る」「食材の不純物(水分や余分な粉など)は取り除いておく」ことなどがポイントになります。また、適切なタイミングでの“さし油”によって油は格段に劣化しにくくなります。